何が起きたか

Googleが7月23日、Googleアカウントのサインイン方法に「自撮り動画(selfie video)」を追加したと公式ブログで発表しました。位置づけは、パスキーや復旧用の連絡先と並ぶ「入れなくなった時の予備の入口」です。

設定は、端末のカメラを見ながら短い首の動きをいくつかこなし、複数の角度を撮るだけ。あとでログインできなくなった時にもう一度自撮りをすると、保存済みの動画と照合されて本人だと確認されます。

偽の写真や動画(ディープフェイク)で突破されないよう、保存した動画との照合に加えて「その場で実際に動いているか」を確かめる動作を求める、と説明されています。動画は保存時に暗号化され、Googleアカウントからいつでも削除できます。ただし公式ヘルプによると、削除の操作をしてから実際に消えるまでには一定の期間があり、ポリシー違反があった場合はより長く保持されることがあるとされています。

日本で使えるかどうかは、ブログ本文には書かれていません。公式ヘルプ側には「すべての地域・アカウント・端末で使えるわけではない」と明記があり、会社や学校のWorkspaceアカウント、子ども用アカウント、Advanced Protection Programに登録したアカウントは現時点では追加できないとされています。自分のアカウントが対象かは g.co/signin-selfie で確認する形です。

生活で何が変わるか

ひとつだけ、先に知っておく価値のある注意点があります。公式ヘルプには「アカウントからロックアウトされている最中や、復旧手続きの途中では、自撮り動画を追加できない」と書かれています。

つまりこれは、困ってから調べる機能ではありません。使えるようにしておきたいなら、入れているうちに登録しておく必要があります。

スマホを落とした、機種変更で認証アプリを移し忘れた、昔のパスワードを思い出せない——Googleアカウントに入れなくなると、写真もメールも学校からの連絡も一度に止まります。家族の予定表や子どものプリントをGoogleに預けている人ほど、止まった時に困る範囲は広くなります。

もうひとつ、ヘルプには「顔つきが大きく変わったら、保存した動画を撮り直す」ようにとあります。登録して終わりではなく、たまに見直す前提の仕組みだと考えておくのがよさそうです。

マスターの一言

自分の顔をGoogleに預けることに抵抗がある人はいると思います。私も、便利さと引き換えに何を渡すのかは毎回考えます。

ただ今回のものは、パスキーや復旧用の連絡先と並ぶ「選べる予備のひとつ」であって、これ一本にしろという話ではありません。すでにログイン手段を複数用意できている人は、無理に増やさなくていいと思います。

逆に、復旧手段が昔の電話番号ひとつしかない、という心当たりがある人は——自撮りを登録するかどうかは別として、自分のログイン方法の一覧を一度見に行くだけでも意味があると思います。