何ができるのか

ChatGPTの設定に「ロックダウンモード」がある。Webや外部サービスにつながる機能をまとめて制限して、プロンプトインジェクションという攻撃で情報が外へ持ち出されるリスクを減らすための、任意のセキュリティ設定だ。

ヘルプの更新表示は、取得した時点で5日前だった。ただし設定そのものは、リリースノートをさかのぼると2026年6月4日の項目に出てくる。今週の新機能ではない、ということだ。

プロンプトインジェクションを短く言うと、AIに読ませたWebページやファイルの中に指示が仕込まれていて、AIがそれに従ってしまう攻撃だ。ヘルプは、この設定が攻撃そのものを防ぐものではないとはっきり書いている。塞ごうとしているのは最後の段階、つまり読み取られた情報が外へ送り出されるところだ。キャッシュされたページやアップロードしたファイルに仕込みが混ざること自体は止まらない、とある。

そして、全員向けの設定ではないとも書いてある。機微な情報を扱っていて、この種のリスクから厳しく守りたい人や組織のためのものだ、という位置づけだ。

発表では「全員」、いまのヘルプは「対象なら」

6月4日のリリースノートは、この設定がアカウントの種類やワークスペースを問わず、ログインしている全ユーザーに提供されたと書いている。

一方、いまのヘルプの冒頭は書きぶりが違う。対象になりうるのは、条件を満たす個人アカウント、自分で契約するChatGPT Businessのアカウント、対応している管理対象ワークスペースだとしたうえで、使えるかどうかはアカウント・ワークスペース・展開の進み具合・管理者の設定によって変わる、と続く。

発表の側の「全員」と、ヘルプの側の「対象なら」が揃っていない。どちらが新しいのか、なぜ書きぶりが変わったのかは、どちらのページにも書かれていない。設定を探して見つからなかったときに、この差を知っているかどうかで納得の早さが変わる。

オンにすると止まるもの

ヘルプが挙げている制限は6つある。

  1. ライブのWeb閲覧。キャッシュされた内容に限られ、検索結果は限られたり、出てこなかったり、古かったりする
  2. 画像。通常の応答での画像表示とWebからの取得ができない。自分でアップロードすることと、画像生成そのものは使える
  3. ディープリサーチ。無効になる
  4. エージェントモード。無効になる
  5. Canvasのネットワーク接続。生成されたコードにネットワークを使わせる承認ができない
  6. ファイルのダウンロード。データ分析のための取得ができない。手動でアップロードしたファイルの操作は続けられる

止まらないものも書いてある。メモリー、ファイルのアップロード、会話を共有する機能、そして会話が学習に使われるかどうかは変わらない。Codexのネットワークアクセスにも影響しないとある。アプリ連携のほうでは、家計の機能と買い物のエージェントが使えなくなる。

入れ方は、設定からセキュリティを開き、高度なセキュリティの下でオンにする。開発者モードとは同時に使えず、片方をオンにするともう片方が切れる。オンのままでも、1つのチャットだけ一時的に切ることはできる。

生活で何が変わるか

献立を相談したり学校のプリントを読ませたりしている分には、この設定を入れる場面はまず来ない。ヘルプが想定している相手が最初から違う。

読む価値があるのは、止まる機能の一覧のほうだと思っている。Web閲覧、ディープリサーチ、エージェントモード、ファイルの取得。ここに並んでいるのは、どれも普段いちばん助かっている機能だ。裏を返すと、その便利さは全部「AIが外のものを読みにいく」ことから出ている。安全側に振ると真っ先に消えるのがこの4つ、という並びになっている。

マスターの一言

うちは当面オンにしない。ヘルプが名指ししている「機微な情報を扱う人や組織」に、家の献立や子どものプリントは当てはまらないからだ。止まる機能のほうが日常では効いてしまう。

ただ、この設定を知る前と後では、AIにWebを読ませるときの気分が少し違う。読ませた先に何が書いてあるかまで、こちらは見ていない。そこを本気で気にする人向けの逃げ道が用意されている、とだけ頭に入れておく。