何が起きたか
Anthropicが8月7日、最上位モデル Claude Fable 5 の生物学まわりの安全装置を更新したと発表した。公式ヘルプの記載では、反映は8月6日(Claude・Claudeアプリ・Claude Platform)で、Amazon Bedrock・Claude Platform on AWS・Google Cloud Vertex AI・Microsoft Foundry 経由は後日となっている。
前提から書く。Fable 5 は、生物学に関わる質問だと安全装置(分類器)が反応して、自動的にひとつ下のモデル Opus 5 に切り替わって答える仕組みになっている。公式はこれを「フォールバック」と呼ぶ。発表によると Fable 5 は当初、悪用リスクを抑えるために「生物学の質問をほぼ全部ブロックする」設定で公開されていた。ふつうの質問まで止まる誤検知を承知で選んだ設定だった、と書かれている。
今回はその分類器のルールを書き直した。結果、生物学関連のフォールバックが社内テストで約85%減ったという。原文が具体例に挙げているのは、検査結果の読み解き、症状の理解、教育目的で生物学を学ぶ、といった日常的な質問だ。
脚注では、生物学以外も含めたフォールバック全体の減少見込みも出ている。Claude.ai で約67%、Cowork で55%、Claude Code で17%、Claude Platform で7%。
ただし、ウイルス学・毒性学・分子設計のような「善用にも悪用にもなりうる」領域は引き続きブロックされる。プロの生物学研究や創薬にはまだ使えない、と明記されている。
生活で何が変わるか
これは「AIに聞いたのに、なんか急に答えが浅くなった」の正体の話でもある。
健康診断の結果票の項目の意味を聞く、子どもの症状について調べる、中高生の生物の宿題を一緒に見る。この辺で答えが物足りなくなっていたなら、モデルが裏で入れ替わっていた可能性がある。
公式ヘルプに、知っておくと迷わない仕様が4つ書かれている。
- 切り替わると画面に通知が出て、答えたモデル名が表示される
- 一度切り替わると、そのチャットはOpusのまま。戻すにはモデル選択から手動で戻す
- 戻しても元の質問が会話に残っていると、また切り替わることがある。公式は前のメッセージを編集してから試すことを勧めている
- チェック対象は自分が今打った文章だけではない。メモリ・連携したサービス・Web検索の結果・添付ファイルなど、モデルが読むもの全部が対象。だから自分が書いていない内容で切り替わることもある
そのうえで、線は引いておきたい。断られにくくなったことと、AIに任せていいことは別だ。検査結果の言葉の意味を知る、受診のときに何を聞くか整理する。健康まわりは、そこまでが妥当な使い方だと思う。
なお Fable 5 は有料プラン(Pro / Max / Team / Enterprise)で使えるモデルなので、無料プランでClaudeを使っている人には直接は関係のない話になる。
マスターの一言
「勝手にモデルが切り替わっていた」こと自体に気づいていない人は、けっこう多いと思う。通知は出るが、答えは普通に返ってくるので、そのまま読んで終わる。
85%減は自社テストの数字だ。自分の質問でどう変わるかは、自分で確かめるしかない。うちではまだ更新前後の比較をしていないので、体感については保留にしておく。
出典: Improving Fable 5 Safeguards(Anthropic公式・2026年8月7日) / Why Claude switched models in your conversation with Fable 5(公式ヘルプ) / Claude Fable 5 on your plan(公式ヘルプ)
