何が起きたか

Googleが7月23日、自社のAIがどう使われているかを大規模に調べた調査「AI & Economy ATLAS」の第1版を公式ブログで公表しました。

中身は、Geminiアプリ・Google検索のAIモード・Gemini APIでのやりとり1500万件を、個人が特定できないよう処理したうえで集計・分析したものです。対象は150以上の国と地域、140の言語、800の職種、4000のタスクにまたがるとされています。

公表された観察の中で、生活者として目を引くのはここです。

ATLASで見たAIとのやりとりのうち、86%超は仕事以外で起きている

具体例として挙げられているのが、買い物の下調べ、家電や道具の使い方の確認、そして税・免許・反則金といった行政まわりの手続きです。ブログではこれを「標準的な経済指標では取りこぼされがちな価値」と表現しています。

仕事側の数字も出ています。AIを使う職種は幅広く、米国の雇用の9割を占める職種に広がっている一方、ひとつの仕事の中で使われているのは約21%のタスクだけ。しかも仕事でのやりとりのうち、タスクを丸ごと自動化しているものは1割未満で、大半は相談・情報探し・学習といった「一緒に考える」使い方だと書かれています。

ひとつ前提を置いておくと、これはGoogleが自社製品の利用データを自社でまとめた報告です。AI全体の統計ではなく、Googleのツールの中で見えた範囲の話になります。

生活で何が変わるか

新機能の話ではないので、今日の操作が変わるわけではありません。変わるとしたら、自分の使い方への見方のほうです。

AIの話題は「仕事が速くなる」「業務が置き換わる」という枠で語られがちです。でもGoogleの手元のデータでは、量として多いのは仕事の外側でした。しかも中身は、献立や買い物の下調べ、説明書を読むのが面倒な家電、書き方がわからない役所の書類——つまり、誰にも頼みにくくて後回しになる用事です。

「こんな雑なことに使っていいのかな」と思いながらAIに聞いている人は、たぶん少数派ではありません。

もうひとつ、仕事の数字も同じ方向を向いています。ひとつの仕事のうち使われているのは約21%のタスク、丸ごと自動化は1割未満。全部を任せる使い方は、まだ主流ではないということです。今の時点では「一部だけ手伝ってもらう」が現実的な線だと、大きなデータの側からも言えそうです。

マスターの一言

私がAIを開く回数が多いのは、正直に言って仕事より家のことです。冷蔵庫の中身から夕飯を決める、学校のプリントの内容を整理する、機械の設定でつまずいて聞く。どれも小さくて、人に頼むほどでもない用事です。

この調査を読んで安心したのは、それが特別ではなかったという点でした。

もしAIを入れたけれど何に使えばいいかわからない、という状態なら、今いちばん面倒だと感じている家の用事をひとつ投げてみるのがいいと思います。仕事で使いこなす方法を探すより、たどり着くのが早いはずです。