何が起きたか

OpenAIが2026年7月30日、日本企業の導入事例を公開しました。ANAホールディングスから独立したAIカスタマーサービス企業 avatarin(アバターイン) が、ヤマダホールディングスと組んで作った「暮らしまるごとAIエージェント」の話です。

このエージェントはOpenAIの GPT‑Realtime を使っていて、文字を打つのではなく声で会話しながら家電選びの相談に乗ります。ヤマダ電機のオンラインストアで2週間の公開キャンペーンとして動かしたところ、約3万人が利用し、アンケート回答の92%が好意的だったと発表されています。

背景として挙げられているのは、日本の家電量販店が抱える事情です。営業時間の外でも、詳しい店員の知識をお客さんに届けたい。でも人手は足りない。その間を埋める役として作られました。

設計の考え方は「答えるだけでなく、聞き返す」。従来のチャットボットが決まったキーワードを待つのに対し、こちらは話の文脈を聞くようにしてある、と説明されています。avatarinの深堀昂CEOは、日常の買い物の困りごとをこう例えています——「4人家族用の冷蔵庫が要るけれど、うちの台所は狭い。どれを選べばいい?」。これに答えられるのが本当の接客だ、と。

商品情報の正確さはRAG(自社の商品データを参照させて答えを作る仕組み)で担保しつつ、GPT‑Realtimeで会話のテンポを保つ、という構成になっています。ヤマダ電機側の接客ノウハウ——商品カテゴリごとに何を聞き出すべきか——も会話の流れとして組み込んだそうです。

生活で何が変わるか

家電を買うときに一番困るのは、たぶん「うちの条件だとどれなのか」を誰にも相談できないことです。ネットのレビューは、こちらの台所の広さも家族の人数も知りません。かといって店頭は、行ける時間が限られる。

そこに「夜中でも、こちらの事情を聞き返してくれる相手がいる」という選択肢が現実に動いた、というのが今回の中身です。しかも一般の買い物客が3万人使った規模での話です。

当サイトでは7月に、OpenAI自身の企業向け製品「OpenAI Presence」も取り上げました。今回はそれとは別で、日本の会社が自分たちで作り、日本の買い物客に実際に使わせたという事例にあたります。

ただ、そのまま受け取らないほうがいい点も書いておきます。

  • 2週間の公開キャンペーンでの数字です。今も同じものが使えるかどうかは、公式ページには書かれていません
  • 92%は「アンケートに回答した人」の中の割合で、回答数そのものは公開されていません
  • 多言語対応と説明されていますが、対応言語の一覧は記載がありません

マスターの一言

家電の買い替えは、うちだと「壊れてから慌てて調べる」になりがちです。そのとき欲しいのは商品ランキングではなく、うちの置き場所とうちの人数を前提にした一言だったな、という気がしています。

この手のAI接客は、まだお店側が用意するものなので、こちらから設置はできません。今できるのは「買い物の相談は、条件を先に全部言うと答えが変わる」という使い方を、手元のChatGPTやGeminiで練習しておくことくらいだと思っています。設置場所の寸法、家族の人数、予算、譲れない条件。この4つを最初に渡すだけで、返ってくる答えはだいぶ変わります。

出典: How avatarin built a 24/7 retail agent with GPT-Realtime(OpenAI公式)