当サイトは7月に、スプレッドシートのAI入力機能「Fill with Gemini」の対応言語が広がった話を記事にした。今回はその続きで、対応言語でなく中身の更新だ。
何が起きたか
Google Workspaceの公式ブログが10月28日付で、Fill with Geminiの更新を2つ載せた(原文)。
1つ目は出典の表示だ。AI関数でセルの値を作ったとき、参考にしたWebの出典が、セル1つごとに表示されるようになった。使えるのはウェブ版のスプレッドシートで、スマホのアプリは対象として書かれていない。
2つ目は量と速さで、1回の依頼で最大3,000セルまで扱えるようになった。ブログには「手入力より最大55倍速い」ともあるが、注記によると、英語話者95人が英語の指示で500セルの作業をしたGoogleの社内調査の数字だ。日本語の作業にそのまま当てはめられる数字ではない。
展開は10月20日に始まり、表示されるまで最大15日かかる順次展開と書かれている(Workspaceの展開区分 Rapid Release と Scheduled Release のドメインについての記載)。
対象は次のとおり。
- 個人向け: Google AI Pro・Ultra
- 仕事向け: Business・Enterprise の Standard と Plus
- 教育向けなど: Google AI Pro for Education、AI Expanded Access
無料プランとGoogle AI Plusは、この発表の一覧にない。スプレッドシートのGeminiでも、iOS版の発表にはAI Plusが入っていたので、発表ごとに一覧を見たほうがいい。
ヘルプと食い違って見えるところ
11月1日の朝4時台に、AI関数のヘルプを日本語版と英語版で取って読み比べた。気をつけたい点が2つある。
ひとつは、日本語版の注記だ。出典の見方(セルをクリックし、内容にカーソルを合わせて「ソース」をクリック)のすぐ下に、「この機能は現在、Workspace Experiments およびベータ版プログラムのユーザーのみがご利用いただけます」とある。「この機能」が出典の表示を指すのか、AI関数全体を指すのかは書かれていない。対象プランが必要なことは、日英とも冒頭に書かれている。英語版はそれに続けて「Workspace Experiments でも使える(also)」とあり、同じ手順の下にこの注記はない。「のみ」と「でも」で読み方が違い、ブログの対象一覧にもベータの限定はない。どれが今の状態なのかは、ページからは分からない。
もうひとつは、セル数だ。ヘルプは日英とも、AI関数のセルを複数選んで生成するとき「生成されるのは最初の350個」と書いている。ブログの3,000セルと同じ数え方なのか、ヘルプが古いだけなのかは、どちらのページにも書かれていない。
日本語については、対応言語のヘルプにAI関数の対応言語として日本語が載っている。ただ、今回のブログは日本語での出典表示に触れておらず、ここは確認できていない。
生活で何が変わるか
効きそうなのは、Webから調べて埋めさせる使い方だ。たとえば買い替えたい家電の型番を1列に並べて、発売年や保証期間を埋めてもらう。確かめるときに1行ずつ検索し直さなくても、セルごとに出典が出るなら、見るページはそこから始められる。
ただ、出典が付いたからといって値が正しいとは限らない。ヘルプにも、不正確な内容を提案することがあると書かれている。お金や期限に関わる値は、出典のページまで開いて確かめたほうがいい。
手元のメモを分類するだけの使い方は、ブログの言うWebの出典とは別の話だ。その場合に何か表示されるのかは、ブログにもヘルプにも書かれていない。
マスターの一言
私はこの機能をまだ試していないので、出典の見え方も精度も分からない。それでも、AIの答えを疑うときに一番面倒なのは、どこから確かめ始めるかを探すことだと思っている。その手間が減る更新なら、派手な新機能より助かる。対象のプランを使っている人は、まず数行で試して、出典のページまで開いてみるくらいがちょうどいいと思います。
